「おい、さくら上物のあんこを手に入れた。」
そういってかがりは大きな紙袋から大きな箱をだして、私の前においた。
「あんこだけでどうすんのよ。」
ぴしゃりと一言いうと、かがりはしっぽを垂れ下げて、頬を膨らました。
後ろからちひろがあんこの箱を覗き込んだ。
「・・・、カキ氷、食べたくないですか?マスター。」
ちひろに目を向けると、彼はあんこの箱一点を見つめ、そういった。
相変わらずのしかめっ面で、
「俺に、いい考えがあるんですがマスターも協力してくれますよね。」
とにやりと笑った。
「あっつっ!」
ちひろにつれられて、しずくのいる所までひっぱられた。
途中でかなめにあって、計画を話すと、私とちひろの腕をがっしりつかんだ。
「なんなのよ、熱すぎるじゃない、」
ちゃぶ台の上の煎餅を片手に入れたばかりのお茶にけちつけてる。
「発言、つか独り言が、もう婆だな。」
「いつから、こんなに年寄りくさくなったのか・・・、」
「しずくは昔からああよ。」
影からしずくを見ていた私たちは、そのまま彼女の様子を見ることにした。
「ふぅーふぅー!・・・ったくなんなのよ、ホント。」
お茶にすこしずつ息を吹きかけて冷ましているようだ。
しばらくするとしずくの周りから薄い霧が立ち込めて、
「おおおい!!あの婆吹雪いてんぞ!?」
「冷ます所の騒ぎではないな、」
「しずくは昔からああよ。」
「、凍っちゃったわ。」
少し残念そうに湯のみをつついた。
「こりゃ使えるな、ちひろ、お前もよく考えたもんだな。」
「お前のおつむと比べるな。」
しずくを見ていたはずなのに、いつの間にか私の隣でいつもの口喧嘩が始まっていた。
「二人とも、黙らないと、ケツにキスするわよ。」
それだけ言うと、
「やめろおおおお!ケツが腐る!!!」
とかなめは尻を両手でおさえ、
「俺の臀部などに、接吻など!もったいない!」
とちひろは私の前に跪いた。
「・・・っ・・・ん・・・」
ちょうど日がしずくにさしてきてうとうとしだしたしずくは、首をかくかくさせて、目を開けたり閉じたりを繰り返した。
「いいか、今がチャンスだ、かなめ。」
「わかってんだよ、むっつり野郎。」
二人は顔を見合わせると、ターゲットであるしずくをきっとにらんだ。
「私はなにしにここにきたの?」
「マスター、貴方のそのきれいな声でカウントをしてほしい。」
私にくるっと振り返って手をとるとまっすぐに私を見てそういった。
「おい、おい、お前らおい、いちゃいちゃしてねえで、作戦決行すんぞ。」
「妬いてるのね・・・。」
「ああ?!」
3、
2、
1、
「っ!なになになに!?」
私のカウントと同時にぴったりのタイミングで飛び出した二人は、同時にしずくをしっぽでたたきつけた。
後ろをずっとついていたフェティダがくるくるとツルをしずくにまきつけた。
「よくやったフェティ!」
「どうってことない。」
畳の上に勢いよくたたきつけられたしずくは自分が今どうなってるのかわかってないようだ。
「さくら?!なに?なんなの?!テロ!?テロなの?!」
いつもは冷静なしずくがきょろきょろしてて、なんだか
「かわいい。」
「っ?!なに?さくらなんなの!?こいつらどうしたの?!クローンなの!?敵なの?!」
「大丈夫か?婆?」
「婆って言うんじゃねえええ!!!」
ゴッ
かなめの一言で大暴れしだしたしずくにみづきが一撃。
「しっぺがえし。」
「しずく姉うるさい。」
「ふーっ」
むくれっ面で水道からでた水を凍らせるしずくの隣で白玉をゆでる。
底からぷーっと白玉が浮いてきて、少しづつそれをすくった。
「素直にカキ氷食べたいって言いなさいよ。」
「ごめんごめん。」
氷を器に移したしずくがその器を、かなめの前においた。
かなめが小さな電流を放つと、大きな塊だった氷はしゃりしゃりしたものに変わった。
かがりがもってきてくれたあんこと白玉、フェティダがひっそり出してくれた抹茶で、宇治金時。
「今日のこと、恨むからね、さくら。」
「はいはい。」
軽く返事をすると、しずくはもっと不機嫌そうな顔をして、カキ氷に手をつけた。
「しずく、あーん。」
しずくがカキ氷を口に運ぶ前に、私のカキ氷を彼女の口の前に出した。
「あーん?」
「・・・っ、ばかさくら。」
憎まれ口をたたきながらも大きな口をあけるしずくに、私は宇治金時を運んだ。
----------
夏に書いたやつです。